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カッティングプロッター・ローランドDGステカ SX-8を借りてみた?
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カッティングプロッターは、管理人的に長らく感心のあったハードウエアなのですが、価格がやや高いこと、思うほど出番がないであろうことが容易に想像できたので購入をためらってました。
そんな折り、友人が店長を務めるカーショップが購入した(というか、買わせた)ので、ノウハウ蓄積を目的(口実)に管理人のもとへ(半永久的に)貸し出しとなりました(笑)

おさらい
カッティングプロッターは、パソコン用の出力機器の一種です。
設計図、パース図などの出力に使われるプロッター(まぁプリンターのようなもの)のペンのかわりに小さなカッターが付いています。
接続したパソコン(MacintoshやWindows)から送られるデータによりマーキングフィルム、マスキングフィルム、など様々なシート素材のカットをする事がでるのであります。

今回購入したのはローランドDG社「ステカ SX-8」という製品。
最大で160mm×1000mmのデザインをカットすることが出来ます。
この他にも250mm幅までカットできる「SX-12」、340mm幅までカットできる「SX-15」などがあります。
いずれもホビー用なので、業務用に比べると精度が落ちてしまうのが難点ですが、その分価格は押さえられていて、業務用が30万円台〜するのに対しSX-8だと3〜4万円台から購入することができます。まぁ、お手軽というわけです。
カットするものの大きさによっては精度誤差も目立たず、十分使用に耐えるだけの性能は持っています。

ローランドDG「ステカ SX-8」。ライオン事務器からもOEM販売されています。
ラジコンメーカーの「京商」ブランドで売られている(いた?)のもこのSX-8と同型。

購入にあたって気を付けること
一番悩むのは、どのモデルを買うかということでしょう。
最大のアドバイスは「大は小を兼ねない」ということでしょうか?
カッティングプロッターは、その構造上(シート押さえが両端にしかないので)横幅いっぱいのシートを必ず使用しなくてはなりません。
そのため、小さなものを1枚だけカットしたい場合でも、幅分のシートが必要となり、使わなかった部分は再利用ができないので廃棄せざるを得なくなってしまいます。
なので、使用目的(使用頻度の多いサイズ)にあわせてモデルを選択する必要があります。
工夫をすれば「小で大を兼ねる」ことも可能なので、あまり欲張らない方が良いでしょう。
機械が大きくなればその分値段も高くなりますし・・・。

購入にあたって気を付けること その2
ステカシリーズには、「Dr.STIKA Plus」と「Cut Choice」という2つの出力ソフトが添付されていますが、マックでステカを使う場合「Cut Choice」を使うことになります。
なぜなら「Dr.STIKA Plus」はWin用ソフトだから(笑)

ただし「Cut Choice」はAdobe Iliustratorに組み込んで使うソフトなので、イラストレーターが必要になります。
更に「Cut Choice」は出力結果をUSBポートに出力するために専用のUSB-Pararel変換アダプタ(SX-UP2・6000円程度)が必要となります。(←ステカ本体にはパラレルポートしかない)
サンワサプライ等のサードパーティーからもUSB-Pararel変換アダプタは発売されていますが、専用品でないとエラーがでる(ことがある)というトラブルが報告されているようなので、本体と一緒に購入するのがベストではないかと・・・決して宣伝ではありません。

この他にも「Pspop-40」という市販の切り文字作成ソフトもありますが(Pspop-40はEthernet経由で出力できる) 、イラストレーターを持っているのなら「Cut Choice」を使った方が安価に始められて良いのでは?と思います。
USB-Pararel変換アダプタ(SX-UP2)は、標準でUSBポートを装備したMacintosh(iMac、G3、G4...)とOS8.6〜9.x に対応しており、「Cut Choice」はイラストレーター8.0J〜10.0Jまで対応(←10.0を使用する場合はアップデートが必要)OS X環境下でもクラッシックで使用することが可能ですので、とりあえず問題なく使えるはずです。

これがUSB-Pararel変換アダプタ(SX-UP2)です。
6000円というのは、ちと高いような・・・。

接続してみる
USB接続なので特別な説明はいりませんよね?
長いシートをカットする時はプロッターの前後にある程度の余裕が必要となります。
(←シートが前後に動きながらカットされていくため)
シートの動きが制限されると、シート送りがスムーズに行えなくなり、カットが正確にできなくなる場合があるので注意が必要です。

カットデータをつくる
イラストレーターを使い慣れた人なら、あまり悩むことはありません。
基本的には、ロゴを書き起こす要領でパスを引いていけばOKです。
クローズドパスでもオープンパスでもかまいません。(既製のフォントなどを使う場合はアウトライン化しておきます)
ただし、線の太さの設定には注意しなくてはいけません。
「塗り」は必ず"なし"、線は"K100で太さは0.01pt"に指定します。
0.01pt以上で指定すると、同じ線を何度もカットしてしまうことがあり、それ以下では線として認識されない場合があります。
パスに線幅を指定している(太さが欲しい)場合は、パスのアウトラインでパスのアウトラインを抽出しておき、 重なるオブジェクトはパスファインダ→合体でカットするアウトラインが一筆書きのような状態になるように、とにかく不要な線は一切書き込まないようにします。(←引かれた線は全てカットされます)

イラストレーター9.0だとこの部分に注目!
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シートのセットとカッターの調整をしてみる
まずカッターの調節をします。
ステカは刃圧の調整ができないので(←業務用の高級機は刃圧の調節ができる)、シートの種類(厚み)によって刃の出し加減を変えて切れ味を調整する必要があります。
マニュアルにも書いてありますが、カッターホルダーを本体からはずして調節ノブを右に1目盛り回すと刃が0.1mm出てきます。(逆は0.1mm引っ込む)
目安としてはカットしたシートを剥がした時に台紙に刃の跡がうっすらついているくらいがベストです。
刃が出ていないとシートが完全に切れていないということもあるでしょうし、逆に出過ぎていると台紙やシートを引っかけて(シートがめくれてしまい)キレイにカットすることができません。
試行錯誤をしてベストな位置を探り当てましょう!
一度決まってしまうと、ほとんどのシートはそのままで切れますが、蛍光やミラー、ラメなどの特殊なシート(固かったり厚いもの)を切る場合は、再度調整が必要な場合があります。
ノブを回しているうちに何目盛り回したか分からなくなってしまうので、基準となる目盛りに印を付けておくと良いです。

マーカーやカッティングシートの切れ端で基準点をマークしておくと便利。
ホルダーを固定するネジはしっかり締めておかないと、カッティング中に刃圧が狂ってくるので注意が必要です。

次に、シートをセットしますが、SX-8の場合200mm幅のシートが必ず必要になります。
最大カット幅が160mmなのにシート幅が200mmも必要なのは、左右20mmほどシート押さえローラーが通る部分を確保しなくてはならないからです。
つまりこの左右で40mm分のシートは「捨てる」ためにセットするわけですが、機械の構造上しかたありません。
これを差し込み口の真ん中にセットしなくてはならないのですが、ガイドが全くないので目安となるものをマークしておくと便利です。
管理人の場合は、カッティングシートで真ん中に200mmの帯が出来るように、両側をマスキングしてみました。
シートを差し込んだら、シート送りダイヤルを回して規定の位置までシートを送り出してやります。これで準備完了!

管理人はこの他にも、本体後部からでているケーブル類とシートの干渉を防ぐため自作のトレイなどを装備していますが、これも取付位置や大きさを工夫しないとシートの動きを妨げてしまう事があるので注意が必要です。
(管理人の施工例がベストなわけではありません・・・)

矢印の部分にガイドとなる黒いカッティングシートを貼ってみた。
中央の白い部分がシート幅と同じになっています。
半透明の塩ビ板でつくった後部トレイ。
自作トレイは強力両面テープで固定されています。
正面側にも小さいのをつけると良いかも。

カッティングしてみる
「Cut Choice」をインストールすると、イラストレーターのファイルメニューの中に「カット・プロット」という項目が追加されます。
カットする図版のデータが出来上がったら、[ファイル]→[カット・プロット]でCut Choiceを起動します。
初めて起動する時は、使用する機器の名前とその機器をどのポートにつないだかなどハードウエアに関するいくつかの設定を尋ねてくるので、画面に従って設定をしていきます。

[一般]タブ内のいろいろな項目については、さわっているうちにわかってくると思うので割愛(笑)
注意したいのは[詳細]タブのなかのパネルマージンです。
ここを0cmにしておかないと、160mm横幅いっぱいの図版をカットすることができません。
「どうして横幅いっぱいに切れないんだろう?」と悩んでいる人は、ココをチェックしてください。

次に注意したいのが、[詳細]タブ右下にあるカッタードライバオプションです。
この項目ではカットスピードが3段階で調整することが出来ます。
デフォルトは中速カットで、ほとんどこのモードで問題ないのですが、小さい文字や複雑な図形をカットしたい場合、中速カットモードでは切りきれないときでも、低速モードにすることで切れる場合があります。
当然カットに時間がかかるようになってしまいますが、試してみる価値大です。
変更した時は、[適用]ボタンを押すのを忘れずに!設定が反映されません。

以外と気づきません・・・管理人もしばらく悩みました(笑)
低速カットにすると、カットスピードは落ちますが細かい細工の成功率は上がります。

全ての設定が終わったら、あとは[通信]ボタンを押すだけ。
カッティングが終わったら、シート送りダイヤルを手動で回してシートを排出します。
このときうまく切れていれば問題ないのですが、切れていない場合はカッターの調整やクリーニングが必要になります。
切れていない場合は刃を出し、切れすぎて台紙まで切ってしまっているような場合は刃を引っ込めます。
めくれが発生している場合は、カットスピードを落としてみたり、カッターを分解して刃をクリーニングするなどしてみましょう。
カットしているうちに刃に糊が着いてしまい、それが原因でめくれが発生することはよくあります。
最悪、カットした文字がそのままカッターにくっついてしまい次の文字のカットが浅くなるということもありますので、なにか問題が発生した場合はカッターの刃をチェックしてみるということが基本になるでしょうか?

ちなみに、カットできる文字の小ささの限界というものもあります。
ステカの場合、英文字なら5mm角、ひらがな漢字は8mm角くらいが限界だと言われていますが、シートの品質によっても変化するので、いろいろやって切れなかった場合は諦めることも肝心かと・・・画数の多い漢字は特にカットが難しいので注意しましょう!

刃やホルダーに付着した糊やホコリがトラブルの原因ということもあります・・・。

カス取りをする
画数の多い小さい漢字が難しいのはカットばかりではありません。カス取りも大変なんです!!(笑)
カス取りとは、図版の不要な部分を取り除いていく作業のことで、図版が複雑であればあるほど根気と集中力を必要とする作業になります。
管理人は変態なので(←おおっ(笑))嫌いではないですが、カット10分・カス取り30分などということも・・・。
先の細いピンセットがあると比較的ラクなのですが、管理人は持っていないのでカッターで全てやってしまいます。
カッターもデザインナイフなどの先の尖ったもののほうが作業しやすいので1本持っておくとよいかもしれません。
カス取りが終わったら、アプリケーションと呼ばれる転写用のシートを上から貼って完成です。

いらない部分を取っていきます。だんだんデザインの全体が見えてくるので、以外と楽しい作業だと思うのですが・・・。
カス取りが終わりました。小さい英文字は1文字が8×5mmくらい。
このくらいのものはラクショーです。

まとめ
カッティングプロッターを買ったからと言って、簡単にステッカーが作れるわけではありません。
キレイに無駄なく作るにはそれなりに努力とノウハウが必要ということですね。
馴れていない人には、すでに最初のデータづくりがハードルとなってきます。
データも作り方でその後の作業効率が変わってきたりして・・・なかなか奥が深いです。

ただ一つ言えるのは、シートにはこだわった方が良いということ。
文房具屋さんで売っているような安いカッティングシートは、比較的厚いものが多く、カット中のカッターの抵抗で伸びてしまって正確にカットできないものがあります。
そのうえ紫外線に弱いので、日光がガンガンに当たるような場所に貼ると色あせは早いしパリパリに素材が劣化してしまうのでいいことがありません。
多少高くても、業務用の(看板屋さんが使っているような)シートを使った方がよいでしょう。
シートが薄く、耐候性も高く、色数も豊富な(ものが多い)のでオススメです。
最近は良質で安価な韓国製なども出まわっているので、ホビー用途ならこれらでも十分なような気がします。
カッティングプロッターを扱っているWEBショップならたいてい取扱いがあると思うので、入手もそれほど難しくないでしょう。

というわけで、多少(?)マニアックなハードウエアですが、オリジナル・ステッカーづくりは慣れてくるととても楽しいですよ〜。

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