山口県立中央病院脳神経外科での研修要領まとめ      

 

 定員: 1名

 研修期間: 3ヶ月

 研修時期: 研修医期間の2年目

 研修目標: 脳神経外科疾患の問診、診察、画像診断、治療を経験し、将来、脳神経外科専門医とならずとも患者さんの診察により脳神経外科疾患を念頭に置ける基礎を作るものとする。 

 研修方法: 研修期間中は24時間オンコールとし、全ての救急に立ち会うこと。脳神経外科の早朝,夕のカンファレンスに参加し、実際の症例についての考え方を学ぶ。外傷、脳出血の患者を受け持ち病歴の記入、診察、検査計画、治療方針を考え、指導者の承諾の元に診療を進める。救急の現場や通常の現場で起きやすいエラーについて学び、防止方法や対策を収得する。

  経験すべき疾患や検査(すでに経験し終えたものは省略する)は15例を目標に行う。単独で5例、他のスタッフとともに10例、計15例を経験することとする。途中の5例と10例の段階で評価して残りの進行方法を考える。  

 研修の評価:経験した症例数の発表と1ヶ月毎の面接による評価を行う。評価方法は病院全体の統一されたものを用いる。

 

A. 研修医が経験すべき診察法・検査・手技 (脳神経外科のみの研修で経験できるものを抜粋)

(1)基本的な身体診察法

 1)全身の観察(バイタルサインと精神状態の把握、皮膚や表在リンパ節の診察を含む)ができ、記載できる。

 8)神経学的診察ができ、記載できる。

 

(2)基本的な臨床検査

 11)髄液検査

 15)単純x線検査

 16)造影x線検査

 17)x線CT検査

 18)MRI検査

 19)核医学検査

 20)神経生理学的検査(脳波)

 

(3)基本的手技

 

 1)気道確保

 2)人工呼吸(バックマスクによる徒手換気を含む)

 3)心マッサージ

 4)圧迫止血法

 5)包帯法

 6)注射法(皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈確保、中心静脈確保)

 7)採血法(静脈血、動脈血)

 8)穿刺法(腰椎)

 9)導尿法

 10)ドレーンチューブ類の管理

 11)胃管の挿入と管理

 12)局所麻酔法

 13)創部消毒とガーゼ交換

 14)簡単な切開・排膿

 15)皮膚縫合

 16)軽度の外傷・熱傷の処置

 17)気管挿管

 

(4)基本的治療法

 1)療養指導(安静度、体位、食事、入浴、排泄、環境整備を含む)できる。

 2)薬物の作用、副作用、相互作用について理解し、薬物治療(抗菌薬、副腎ステロイド薬、解熱薬、麻薬を含む)できる。

 3)輸液ができる

 4)輸血(成分輸血を含む)による効果と副作用について理解し、輸血を実施できる。

 

(5)医療記録

 1)診療録(退院時サマリーを含む)をPOS(Problem Oriented System)に従って記載し、管理できる。

 2)処方箋、指示箋を作成し、管理できる。

 3)診断書、死亡診断書(死体検案書を含む)、その他の証明書を作成し、管理できる。

 4)CPC(臨床病理カンファランス)レポートを作成し、症例呈示できる。

 5)紹介状と、紹介状への返信を作成でき、それを管理できる。

 

B. 研修医が経験すべき症状・病態・疾患(脳神経外科のみの研修で経験できるものを抜粋)

 (頻度の高い35症状から脳神経外科のみの研修で経験できるものを抜粋)

2)不眠、9)発熱、10)頭痛、11)めまい、12)失神、13)けいれん発作、14)視力障害、視野狭窄、15)結膜の充血、16)聴覚障害、17)鼻出血、18)嗄声、23)嘔気・嘔吐、25) 嚥下困難、27)便通異常(下痢、便秘)、30)歩行障害、31)四肢のしびれ、33)排尿障害(尿失禁・排尿困難)、34)尿量異常、35)不安・抑うつ

 (緊急を要する17症状・病態から脳神経外科のみの研修で経験できるものを抜粋)

  3)意識障害、4)脳血管障害、13)外傷、15)誤飲、誤嚥、

 

 (経験すべき86疾患・病態から脳神経外科のみの研修で経験できるものを抜粋)

 2)神経系疾患 (a)脳・脊髄血管障害(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血)(b)痴呆性疾患、(c)脳・脊髄外傷(頭部外傷、急性硬膜外・硬膜下血腫)、(d)変性疾患(パーキンソン病)、(e)髄膜炎

3)皮膚系疾患 (c)薬疹、

5)循環器系疾患 (c)不整脈(主要な頻脈性、徐脈性不整脈)、(e)動脈疾患(動脈硬化症)、(g)高血圧症(本態性)

6)呼吸器系疾患 (b)呼吸器感染症(急性上気道炎、気管支炎、肺炎)、(e)異常呼吸(過換気症候群)、

7)消化器系疾患 (a)食道・胃・十二指腸疾患(消化性潰瘍)、(d)肝疾患(薬剤性肝障害)、

10)内分泌・栄養・代謝系疾患 (a)視床下部・下垂体系疾患(下垂体機能障害)、(d)糖代謝異常(糖尿病、糖尿病の合併症、低血糖)、(e)高脂血症、

12)耳鼻・咽喉・口腔系疾患 (b)急性・慢性副鼻腔炎、

13)精神・神経系疾患  (b)痴呆(血管性痴呆を含む)、

14)感染症 (b)細菌感染症(ブドウ球菌、MRSA, )、

17)小児疾患  (a)小児けいれん性疾患、

18)加齢と老化 (b)老年症候群(誤嚥、転倒、失禁、褥瘡)